[ home | about us | book&cd | hockey goods | Q&A | clinics | coach hiroki | link | contact us ]

チェコ
&スウェーデン

2004年05月01日

特別企画:ヘローキィのチェコ&スウェーデンホッケーツアーその7

スウェーデンホッケーを語る

さて、問題のホッケースタイルです。スウェーデンといえば古くはボリエ・サルミング、最近ではピーター・フォースバーグ、マッツ・サンディンやマーカス・ナスランドのように、非常にスキルが高くてオールラウンドな選手を想像します。私が練習や試合を見学したヴァクワ・レイカーズは、ジュニアチーム代表クラスの選手が数名いましたが、なるほど全体的にスケーティングのレベルが恐ろしく高いという印象を受けました。私がこれまで見てきたカナダ、アメリカ、ロシア、チェコと比較しても、ジュニア年代、シニア年代通じてスウェーデンのスケーティングは間違いなくトップでした。もちろんハンドリングも極上になめらかでシュートも強力。基本スキルだけを考えるなら最も完成度が高いホッケーのひとつといえます。これは次回来るときには是非とも幼年期の教育をチェックしなければなりません。

チームプレーのシステムにおいてもスウェーデンはホッケー界をリードするような画期的なシステムを次々と編み出しています。例えばもっとも有名なのが1-3-1や1-2-2のニュートラルゾーントラップ。1970年代に当時のスーパーパワーであったソ連の攻撃を封じるために編み出されたものが元になり、90年代にNHLで広く使われるようになり注目を浴びました。現在では「低得点化したホッケーの悪の元凶」みたいに言われています。実際の試合でもトラップを中心とした守備的なホッケーが徹底して行なわれており、スコアリングチャンスは非常に少ないという印象を受けました。チェコで出会った某ヴェイボダ氏の次男坊は

「スウェーデンリーグでプレーしたことがあったんだけど、守備的過ぎてつまんなかった。あと、コーナーにいったらアレしろとかコレしろとか決め事が多くてイヤになったよ。どーせそんなにたくさん憶えられるわけないっつーのによー」

と、いや少しくらいは守ろうよと突っ込みたくなるほど攻撃大好きのチェコ人らしいコメントを残していました。


屋外リンクです。皆さんJOFA(ヨファと読んで下さい!)着用です。

そんな守備でガチガチのホッケーの反動からか、2000年代にはいきなり2-2-1トーピードという超攻撃的システムを編み出して世界をあっと言わせました。これは従来のディフェンス2人とウイング2人にセンター1人というポジションの概念を根本的に覆し、前線で攻撃とフォアチェックを担当して走りまくるトーピード(魚雷)2人、中盤に従来のセンター的役割をになう攻守の要ハーフバックを2人、最後尾に従来のディフェンスのごとく守備を固めるリベロを1人置くシステムです。トーピードは4セット作り、走りまくって30秒くらいで交代、ハーフバックとリベロは3組くらいで回すのが普通らしいです。このシステムの大きな利点としては、常に攻撃に4人加わることができ、数的優位を作り出し易いことにあります。実際トーピードを使った試合を見てみると、ガンガン前線に飛び出すトーピードに縦パスを通し、アタッキングゾーンに入ってはトーピードとハーフバックが4人でサイクリングやらシザースを繰り広げてかなり見ごたえあります。ソルトレイク五輪の予選、スウェーデン対カナダがお薦めですので是非見てください。で、やっぱりこのトーピードを使っているチームは現在スウェーデンではけっこう存在するみたいです。残念ながら生トーピードは見ることができませんでしたが。

このトーピードについては特に北米の専門家からは賛否両論です。実際問題としてチーム作りの期間が短く、トレードなども盛んな北米式のチーム運営では、「うちはトーピードやってるから、君は今日からディフェンスではなくハーフバックに生まれ変わってもらう」みたいなことはやリにくいのでしょう。だからといってこのような新しいシステムを頭ごなしに否定するのはどうかと思います。戦術に合わせてポジションを新しく作る、、、このトーピードの発想の元になったサッカーではごく普通に行なわれているじゃないですか??登録ポジションはフォワード、ミッドフィールダー、ディフェンスでも、実際の役割はリベロとか、サイドバックとかボランチとか、レジスタとか、、、私はこういう自由な発想があって良いと思います。


練習はこんな感じでした

ゴールテンディングはというと、、、ちょっと遅れてるなーというのが正直な感想です。チェコほど前にバンバンチャレンジするようなことはありません。むしろ下がりすぎくらいなんですが、セービングが非常に不安定で、ローショットをきっちり止めたり、横移動をしながらセーブというのがどうも苦手みたいでした。そういえばお隣のフィンランドからはNHLで活躍するゴーリーがどんどん登場しているのに、スウェーデンゴーリーはパッとしませんねぇ、、、なんとスウェーデンのエリートリーグにもフィンランドゴーリーがどんどん流入してきているみたいで、さすがのスウェーデンも焦り始めてゴーリー強化に取り組みはじめたようです。

っといったところで、なんとフランソワ・アレールがついに今年の夏、スウェーデンでゴーリークリニックを始めるという情報が!!こりゃ近い将来スウェーデンにも大改革の波がやってくることはほぼ間違いありません。注目です!


ホームとアウェイのスタンドを仕切る金網、、、なんだか物騒です。

と、偉そうに書いてきましたが、実は私のスウェーデン滞在はわずか4泊でしたので本格的に語れるほどにスウェーデンホッケーの練習も試合も見ることはできませんでした。また、ストックホルムなどのメジャー都市ではなかったので私が見たものすべてがスウェーデンホッケーを反映しているかというと絶対にそうではありませんのでご了承ください。

[その6へ戻るその8へ進む]

[ home | about us | book&cd | hockey goods | Q&A | clinics | coach hiroki | link | contact us ]

このサイトは若林弘紀によって管理されています。
ご意見、ご質問等は hiroki@hockeylabjapan.com
までお寄せください。

Copyright 2005 by Hockey Lab Japan
このサイトの内容を無断で複写、転用、することを禁じます。

このサイトはリンクフリーですが、事後でも構いませんのでご一報いただければ幸いです。