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マニアック書評

2001年6月28日

「ムーミンパパ海へ行く」(講談社文庫)

あー、なんたることか!!!

北欧、いや世界の児童文学界の超巨星、トーベ・ヤンソン女史が亡くなりました。 悲しくて仕方がありません。私は彼女の代表作であるところの「ムーミン」シリーズの大大ファンだったのです。なにせ大学の卒論だって

「ムーミンにおけるニョロニョロの存在意義」

にしようかって本気で考えたくらいですから、、、、 つい最近本の整理をしていて、久しぶりにムーミン読もうかと思って引っ張り出した矢先のことでした。 うーん、ムーミンシリーズ、日本ではちょっと安い作りの(失礼!)アニメのおかげで子供向けの童話と思われがちですが、実のところ、ヒジョーに深い奥行きを持った、大人向けの本格文学なのですよ。

だいたい扱っている内容が、彗星がムーミン谷に落ちてくる話とか、洪水で家を失う話とか、ハッピーエンドにこそなれど暗めの題材が多いのです。 特に後期の作品群は冬眠から目覚めたムーミンの話とか、ムーミン一家がムーミン谷を捨てて荒れ果てた島へ引っ越す話とか、その留守中のムーミンのいないムーミン谷の話とか、楽しくも何ともない話のオンパレードで、ヤンソンさん相当キテたね、といいたくなります。 なかでも

「ムーミンパパ海へ行く」(講談社文庫)

はかなりイカレた作品で、安定したムーミン谷での生活を捨ててたどり着いた島でのムーミン一家の奮闘ぶりを描く、、、のですが、 この物語、あの楽しいムーミン一家がどんどん病んでいく様子がリアルに描かれていて、ちょっと恐いぜ、、、と思いました。 ママは草木が育ちにくい島で、ムーミン谷の家の庭が再現したくなって壁に庭の絵を書き始めます。 パパは住み慣れた環境を捨てて一家の主としての威厳を取り戻そうと必死ですが空回りの連続。島にある「池」が、さも重要な意味を持つかのように不毛な探索を繰り返します。 ムーミンにいたっては「海馬」なる不思議な生き物に恋をして、連夜浜辺に繰り出しますがつれなくあしらわれます。

いやー、やばいやばい、この人(トロール?)たち。 しかしこの状況はなんとなく、急激な環境の変化の中で生きる意味を必死で探そうとする、現代人に当てはまるじゃあないですか。 そーなんです。ヤンソンさんはムーミンシリーズを通して、現代社会批判を行なっていたのですよ。 で、ニョロニョロはどんな意味をもつのか?? 私の回答はまたそのうち、、、 と、いうわけで、だまされたと思ってムーミンシリーズ、熟読してください。

ああ、これでフィンランドに行きたい理由が、ホッケーだけになってしまった、、、 合掌


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