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マニアック書評

2001年5月24日

「新インナーゲーム」
(W.T.ガルウェイ著,日刊スポーツ出版社)

さて、メントレ界の巨匠、ジム・レーヤー師のありがたい本の次は、、、彼と並ぶすごいやつ!!

「新インナーゲーム」(W.T.ガルウェイ著,日刊スポーツ出版社)

著者のプロフィールから言いますと、ガルウェイさんもかなり上手いテニス選手だったらしく、なんかテニス界はメントレの元祖っぽいですね。自分と向き合うスポーツということなんでしょうか?まあ相手はネットの向かいにいるわけですから、ホッケーみたいにガツガツ当たるわけでもないし、より自分自身との対決が主になるということか?でも卓球やバドミントン界でメントレの巨匠っていうのも聞いたことないし、、、まあいいや。なになに、ハーバード大ではテニス部の主将で活躍、秀才ですね!で、東洋思想やヨガを学び、1974年に「インナーゲーム」を発表して脚光を浴びるか、、、 ここまできてフフーンと思ったあなたは鋭い。この男、元ヒッピーと見た!!いやいや、また今度書きますが、NBAシカゴ・ブルズ黄金時代の監督、フィル・ジャクソンといいガルウェイといい、1960年代にアメリカで東洋思想やヨガなんかやってるのは、どうみてもインテリヒッピーです。彼もサイケな音楽聴きながら長髪なびかしていたに違いない。

さて、彼のバックグラウンドからわかるように、この本、スポーツ云々で語れる代物ではありません。私は正直言ってブッ飛びました。コーチの中には彼の理論を毛嫌いする人もいるということですが、うなずけます。だって彼は

「技術をこまごまと教えるから下手になる」

といってしまったのですから。彼は従来のとにかく細かく教えていく技術指導をバッサリ切り捨てているのです。彼に言わせれば

「ハイ、フォアのストライドは足をきっちり伸ばして、左足の足首が伸びきってない!あ、シュートのときは手首を、そう!いや、あー、ちょっと違う、なんていうかなー、もうちょっとこうひねって」

という指導は生徒を混乱させるだけだというのです。

「こうするべきだ」
「これをしなければだめだ」

という言葉による細かい指導は、生徒に自分のプレーを裁判にかけるくせをつけさせるだけだ、というわけです。たしかに細かい体の動きを指示され続けると、肝心の結果よりも自分の動きの一つ一つに気をとらわれ、思うような結果がえられないもので、よけいに悪循環の深みにはまるものです。

彼は、自分の望む結果をイメージして、それに近づくように、自分の体自身に自由にプレーさせなさい、というのです。例えば、シュートを狙ったところに飛ばすためには、自分のシュートに対して「良かった」「悪かった」などという価値判断をせずに、

「体をどう動かしたら、どこに飛んだ」

という純粋な観察をせよ。というのです。あ、だんだん精神世界のほうに来ましたね。でも、たしかにその通りです。私たちは「自分自身」の技術について、人に言われるばかりで、自分で観察することがほとんどないのです。自分でビデオを見たとしても、純粋な観察ではなく、そこにはいつも「良い」「ダメ」という価値判断ばかりが優先し、体の動きそのものと結果との関連は見出せないままです。

ガルウェイは「自分の体のことは体が一番知っている。体に言葉で命じるのを止めて、イメージで命じなさい」 と説くのです。あー、分かり難いですね。読んでください。マジで、すごいです。指導者のあなたはきっと自信を無くします。私は読んで以来かなりコーチングのアプローチを変えようと努力しています。 私はレーヤーのアプローチが心理学でいうならフロイト的、ガルウェイはユング的だと感じました。 面白いのは両者とも最終的には禅やヨガの方面に行っているということです。なんたること、古(いにしえ)の思想の中に、答えはすでに用意されていたのですね、、、、、 というわけで、禅の名著もそのうち紹介します。


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