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チェコ
&スウェーデン

2004年04月06日

特別企画:ヘローキィのチェコ&スウェーデンホッケーツアーその3

チェコホッケーの育成システム

チェコのプロホッケーの話は「その1」で書きました。いやはやさすがにホッケー大国、懐は深いです。しかし、どんなスポーツ大国でもそれにみあった育成システムが存在しているからこそトップレベルを支えることができるのです。

チェコではいわゆる組織化された競技ホッケーが4、5年生(日本の小学校4、5年生とほぼ同じ年代と考えてください。以下同様に)から始まります。4、5年生を年少リーグ、6、7年生を年中リーグ、8、9年生を年長リーグとする学童地域リーグが地方都市を中心として存在します。この学童地域リーグはあまり競技性は高くないようです。

さらにもう少し規模の大きい都市を中心に、6、7、8、9年生(日本でいうなら中学3年まで)の学年別学童リーグが存在します。このリーグは本格的な競技ホッケーへ直接続く道と考えられます。そして学年別といってもきっちりと1歳ごとに区切られているわけではなく、6年生リーグには91、92年生まれ、7年生リーグには90、91年生まれと、二つの学年がプレーすることが可能なシステムになっています。この辺は北米方式と似ています。

学童リーグは学年ごとにAからEレベルに分けて、各8チームで試合を行い、各リーグの1位がチェコの頂点を目指してトーナメントで全国大会を行なっています。このレベルでは入替戦は行なわれないようです。また、リーグの運営方法も毎年改善されているようで流動的です。

学童リーグ世代を終えて16、17歳になるといよいよ本格的な競技ホッケーリーグに突入します。16、17歳はドロストと呼ばれ、プロリーグと同様にエキストラ(東西10チームずつ)、1部(東西合計28チーム)、地域リーグ(約30チーム)にレベル分けされてリーグ戦を行い、プレーオフ、入替戦も実施されます。

さらに18〜20才はジュニアと呼ばれプロリーグと同様にエキストラ(東西10チームずつ)、1部(東西合計28チーム)、地域リーグ(約30チーム)にレベル分けされてリーグ戦を行い、プレーオフ、入替戦も実施されます。

この構造からおぼろげながら想像できるように、実はこの育成システムは基本的にプロのクラブチームの傘下に構成されています。例えば名門スパルタプラハはプロ、ジュニア、ドロストの各年代にエキストラのチームを持っており、それ以下の年代でも強力なチームを編成して人材の供給をしているのです。

移籍金の話

そして、HCコブラプラハのようにプロは2部リーグ、ジュニアやドロストは1部あたりで、人材を育ててエキストラのチームに移籍させることで移籍金商売をしているチームもあります。選手を育成して移籍金商売するというのはどうも我々日本人にはなんか後ろめたい気もするのですが、チェコホッケー界ではなんと15歳を越えたら男でも女でも「選手として売る」ことが可能になります。女子ホッケーの移籍で1人20万円くらいって話もあるらしいです。平均月収8万円の国の話ですからこれが男子プロになれば結構な商売です。

こうしてプラハのような大都市から田舎まで、プロチームを頂点とした育成システムの中から、プロのエキストラリーグという頂点に入ること(とか入れて移籍金をせしめること)を目指して日々競争が行なわれているのです。


HCコブラプラハのホームリンク。かなりボロイです、、、

子供の練習

さて、以上のように親チームであるプロのクラブチームによって編成された子供のチームはたいてい親チームのホームリンクで週4日くらいのペースで練習しています。4、5年生のチームからドロスト、ジュニア、さらにはAチーム(プロの1軍)まで練習しているわけですから毎日朝から晩までリンクはフル稼働しています。子供の練習だって昼間っから普通に入っていたりします。そこで疑問が沸き起こってくるのが、、、「学校は?」ということですが、さすがは旧共産圏のホッケー大国、近隣の学校と提携して各学年に1クラス「ホッケークラス」をつくり、ホッケーの練習に合わせたカリキュラムを組んで練習に出られるような環境作りをしているようです。これはチェコが自由化した際に一時期消えていた制度だそうですが、長野オリンピックでの優勝を契機にホッケー熱が再び高まり復活したようです。

女子ホッケー

今まで話してきたのは男子ホッケーのことですが、もちろんチェコにも女子ホッケーがあります。が、男子のそれに比べて注目度は桁違いに低く、レベル的にも日本にも劣るほどです。どうもチェコでは女性のスポーツへの認識がまだまだ低いらしいのです。というわけで、現在でも女子という理由で年齢制限などをクリアしていても男子のチームには入れなかったりするケースも多いようです。しかしそれでも女子のリーグの運営などを考えてみるとかなり充実していて、国際試合を含めて多くの試合経験が詰める環境ではあります。女子のプレーのレベルはチームとしてみればさほど高くありませんが、日本の男子大学生並のシュートをぶっ放す豪腕選手が多く、制度さえ整ってくればあっという間に世界レベルに到達する感じがしました。


女子ホッケーの試合風景。手前に見える親父さんが熱い!

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