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コーチ道コラム

2002年3月31日

自分解放??その2

何人かの人から、「自分解放??その1」があってその2はいつ書くんじゃい!とリクエストを受けていたのですが、その後あまり書く気がなくなってしまっていました。

そんなときに春の選抜高校野球で前代未聞の不正事件発覚!この事件自体と前回の記事とのつながりは若干薄めながらとにかくやる気が出てきたので書きます。

選抜での事件は、ネット裏から野球部の副部長が相手の情報を収集し、そのメモを生徒にリレーさせて監督/選手に運ぼうとしたものでした。野球では観客席にいる人と情報交換をしてはいけないというルールがあるため、そりゃ立派な不正行為だったわけです。野球はその他にもサインを盗んじゃダメとか情報伝達に関するルールが厳しいようです。1球ごとにストップして行なうスポーツのため、情報を伝達する時間も、それを解析して利用する時間もあるため、情報の利用にはある程度の規制が必要だということでしょう。ホッケーではそんなルールとかは基本的にはないと思います。試合中は難しいとしてもスタンドで見ているスタッフがピリオド間に情報を伝えることは普通ですし、ワイヤレスもってベンチの人と交信している姿は、少しレベルが高い試合ならごく普通です。

ちなみにホッケーにおいてもNCAAディヴィジョン1では「同じトーナメントに出場して同じ会場で戦っている場合を除き、相手チームの試合をスカウティングしに行くことは禁止されている」ようです。相手関係者との直接の接触を防ぐためでしょう。テレビ観戦はもちろんできます。

面白いのはこの不正行為をめぐる報道のスタンスです。ある新聞の記事には

「勝利至上主義」と
「データ至上主義」が
「さわやかで伸び伸びとした」
「高校野球の夢を壊す」
「最大の犠牲者は生徒だ」

という要旨の論評がされていました。いかにも当り障りのない論評だったのですが「勝利至上主義」はまあ分からないでもないとして、「データ至上主義」が青少年の敵だみたいな内容は面白い勘違いだと思いました。記事中には

「最近では高校レベルでも相手校の練習試合までビデオで録画して分析している」

なんてことが書いてありましたが、、、これって「勝利至上主義」でも「データ至上主義」でもなく「スカウティング」じゃないのでしょうか?相手の戦力を分析して戦うことには何も後ろめたい部分はなく、戦いの一部なのです。(今回のように明らかなルール違反は論外ですが)甲子園まで来て「高校でそこまでしなくても」などというレベルでないことなんかは誰でもわかります。「分析に頼らずさわやかに伸び伸びと(?)当たって砕けろ」式の戦いをしろというのならばそれこそ子供に失礼です。

戦いに勝つためにはグラウンド、フィールド、リンクの外での体力やスキル以外の準備や分析が不可欠であることに疑いの余地はありません。(競技スポーツの話をしています。念のため)個人的にはそれはどんなレベルの子供にも教えることだと思います。

「相手はこんな特徴のあるチームだから自分たちはこういう戦い方をしよう」

と、子供に教えることも大切な教育ですし、スポーツのひとつの楽しみ方です。何も情報を与えずに「伸び伸びさせる」と言えるのでしょうか?もちろん小さい子供の場合は情報を与えすぎず、自分で打開する努力をさせることも大切でしょう。しかし、普段から相手の戦力をどのように分析するかを教えずに「自分で考えろ」とはいえないと思います。先に書きましたが、野球のように情報収集が戦術の大きな部分を占めるスポーツでは特に重要だと思います。

だったら、、、、いっそのことサイン盗みも客席からの情報も全部ありにするっていうのはダメなんですかね?情報が膨大になって、最終的には生身の技術対決になるしかないはずなので、それはそれで面白くなると思うんですが?

それでは。

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