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Q90:子供に筋トレは必要?(04年09月09日)

Q:

現在オフシーズンなので、チームは、陸トレしてます。ランニングや、腕立て、腹筋、背筋、スクワットなど、30回を3セット。小1から小6までやらせてます。

子供の筋トレは良くないのでは?と言う話になったとき、コーチ曰く

「バーベルを挙げているわけではなく自重トレーニングなので、筋トレというほどではない。基礎体力の向上だ」と言われました。そう言われれば、納得するしかないのですが、本当にそうなんですか?

悩める父

A:

私は筋力トレーニングや子供の成長の専門家ではありませんので、解剖学と整形外科という専門家二人に問い合わせたところ、非常に複雑な回答が返ってきました。

結論としては「たぶん問題ないが、効果もあまりない。筋トレに頼らず他のスポーツでコーディネーションなどを鍛えるほうが良さそうだ」ということになりそうです。

以下原文を抜粋して掲載します。

<回答1:解剖学の見地から>

まず、自重トレーニングといえど、筋や骨に過度のストレスが加わる事は無いとは言い切れず、やり方次第では障害を引き起こす原因になりかねないという事でした。自重トレーニングとは言え、筋や骨には体重の何倍もの力が加わるので、軽いダンベルを使ったほうが部位によっては負荷が少ない事もあります。個人差もあるので指導者とも相談してトレーニング量を決めるのが良さそうです。

ただし一流選手を目指すのなら、幼少期からのトレーニングは不可欠で、ある程度の筋力トレーニングが必要な事も否めません。自分の体と相談して、といったところでしょうか。

余談ですが、成長期の筋力トレーニングによって、骨の成長が止まる、というのはどうやら嘘のようです。筑波の別の教授が調査したところ、骨端線の成長は、筋肉の押さえつけるパワーをはるかに凌ぐそうです。幼い頃からサッカーをやったから足が短い、などということは無くその人は遺伝的に足が短くなる要素を持っていたということになります。

いずれにせよ、成長ホルモンの分泌が激しく、身長が伸びるのは主に寝ているときで、寝ているときにトレーニングをして筋力が骨を締め付けているわけではないので、まぁこの話が「足の短いサッカー選手」が自己弁護のために作り出した言い訳ということになりますね。また、成長期の骨への刺激が身長の増加につながるというのは事実のようで、バスケットやバレーボールで背が高くなるというのはありえるそうです。

とりあえず、成長期の筋トレが障害の原因になりえるか?といえば「YES」だそうです。

<回答2:整形外科の見地から>

筋トレの話ですが、日常生活以外に不自然に行う運動は個人的な見解では筋トレです。それでは筋トレが成長障害をおこすかが問題になりますが、これは文献的なscientific evidenceにかけるところがあります。

小1から6まで同じような基礎体力ずくりという筋トレをやらせていることには疑問がありますが、腹筋、背筋、腕立て伏せ30回を3セット程度であれば、怪我もしないでしょうし、筋肥大がおこるとも思えません。ちなみに私は小学校4年生頃から中1まで腹筋、背筋40回を3セット程度、腕立て伏せは10回程度しか出来ませんでしたが、毎日水泳の前の準備体操でやっていて問題は起きませんでした。(これも経験論ですが。)

あとはその基礎体力づくりとやらが小学生の時期に必要かどうかです。単にスクワットをやらせるよりは全力で走らせた方が瞬発力の育成には為になるでしょうし、持久力というのなら他の球技をやらせれば良いわけですよね。

個人的な意見ですが、子供のころからホッケーでもサッカーでも野球でもそれを始めたらそのスポーツだけを考えて運動をさせるというやり方がどうも理解出来ません。身体のコーディネーションを向上させれば何をさせてもよいとおもいませんか?私の答えとしてはその程度の筋トレなら成長に問題はないのではないでしょうか。ただ、有効かどうかは別問題でということです。

筋トレと成長障害についてはもう少し調べてみます。ざっと調べた限りでは成長障害に関して言及しているものがないのではっきりわかりません。

<HLJの見解>

もちろん上記のほかにも諸説あるのは当然ですが、専門家の見解はとても勉強になりました。適当なことだけ言ってちゃダメだなと思い直しました。

小学生の筋トレで障害が起き得るかどうか?ということとは別に「とにかく筋トレ」という指導者とプレーヤーの思い込みのほうが問題だと思います。良いホッケー選手になるためにしなければならないことはたくさんありますし、小学生の時期に大切なのは明らかにスキルアップと全体的な俊敏性の向上です。筋トレする時間にハンドリング練習や他のスポーツをするほうがホッケーにとっては有効かもしれません。神経系統の発達はゴールデンエイジ(7〜10歳)を中心とした小学生期、心肺機能の発達はだいたい中学生期、筋力の発達は高校生期から、と、発育の順番は大体決まっています。ですから、小学生期を逃したらなかなか発達しにくいスキルを中心とするべきでしょう。スキル中心とはいえ、もちろん激しいスポーツですからホッケーするだけでも日常生活をはるかに上回る負荷が筋肉にも骨にもかかります。それだけでもじゅうぶん「筋力トレーニング的要素」になっていると思いますが、、、

ちなみに過去にこのような回答も載せていますが、それはその当時それなりの専門書で調べた見解です。こういう分野は日々研究が進むものだなと、、、

それでは。

(回答者:若林弘紀

 

 

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