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Q66:こんなコーチ納得できない!(01年12月19日)

Q:
息子(小学5年生)の練習、試合を、見ていてどうも納得のいかない所があります。試合中1度でも失敗をすると次のピリオドから出してもらえないんです。まして、教えているコーチがベンチに戻るとすごい、怒り方をするんです。今の1点はお前のせいで入れられたとか・・他のチームの試合を見に行ってもそんな事を言うコーチがいないんですよね。もっともっと楽しくホッケーをさせてあげたいんですが・・・

怒れるママ

A:

Q&Aの更新をサボっていたコーチ・ヘローキィが先週来たばかりのこの質問に重い腰をあげたのにはわけがあります。(回答が滞っているみなさんゴメンナサイ、、、)わたしはこういうコーチは許せないのです。モーレツに腹が立ちます。

コーチたるもの自分の教えているプレーヤー(まして子供!!)のプレーに責任を持つべきです。「お前のせいで負けた!」ならそのプレーヤーを教えたコーチの責任はどうなんでしょうか?実際に見ていないのでよく分かりませんが、この話だけだと指導者としては非常に大きな欠陥があります。

私はだからといって

「とにかく誉めて伸ばす」

という教え方がいいといっているのではありません。実際に私のコーチングは子供相手であろうとかなり厳しいことで知られています。問題はどこで楽しませて、どこで厳しくするかという「さじ加減」に合理性があるかどうかということです。

私は常に

「できないことができたとき」には「誉め」
「できないことをやろうとして失敗したとき」には「励まし」
「できることをやろうとしなかったとき」には徹底的に「怒る」

ことにしています。子供も大人も関係ありません。ちなみに今シーズン私が指導した大学では、1点を争っている試合中、ホイッスルの後にアンスポーツマンライクコンダクトを取られたプレーヤーと、別の試合でブロークンスティックの反則をとられた4年生を、そのピリオドが終わるまでベンチに座らせました。いずれの例も全くメンタルな問題で、単なる自制心不足と集中力の不足だったからです。これは許されてはいけません。そういえば練習中に以前やったことがあるドリルを間違えまくって全然集中出来ていないときに全員に前転(氷上でマット運動するとキツイですよ)10回を命じたこともありました。このような罰則、怒り方は、チームと個人に規律を命じる上で非常に重要だと思います。たとえ子供であっても、真面目にプレーしなければ、自分勝手なプレーだけでは、上手くもなれないし、第一楽しくなくなることを教える必要があるからです。

しかし、単にプレーヤーができないこと、失敗したことを、怒りまくるのは指導ではありません。子供はコーチや親を楽しませるためにプレーしているのではなく、自分が楽しむためにプレーしているのです。「できない」ならできる方法を教えるのが指導です。「点を取れ」「取られるな」「負けるな」「勝て」「失敗するな」は願望であって指導ではありません。努力しているのに失敗を怒鳴られてしまったら、挑戦する勇気も価値もなくなりますし、第一面白くなくなります。残念なことに試合で怒鳴り散らすコーチほど、練習で必要なことはほとんど教えていないものです。そして試合に勝ったときには自分の手柄で勝ったと有頂天になるものです。子供は大人のそういう姿を、恐いくらい見ているものです。

ここでできる解決策は、とにかくコーチと父兄がコミュニケーションをとることだと思います。「怒鳴らないでください!」と怒るのではなく、なぜ怒鳴るのか?どんな場合にどんな基準で怒鳴るのか?なぜ怒鳴る指導法が優れていると考えているのか?を説明してもらってください。そうすればそのコーチはどこかで説明に困るはずです。そこではじめて「もう少し子供たちに失敗を恐れないで挑戦させてあげてください」と切り出せばいいのではないでしょうか。

最後に私のお気に入りの一冊
「THE COACH」(Ralph J. Sabock、日本文化出版)

からの一節を紹介します。

「なぜ私はののしるか、その11の理由」

それは真の男、女の徴であるから。
それはセルフコントロールの手本であるから。
それは自分の家族を非常に喜ばせるから。
それは教養と洗練されていることのあかしであるから。
それはどれほど高い教育を受けたかを表現しているから。
それは言葉の使い方を身につけていることを表すから。
それは子供たちの良い手本となるから。
それは自分がいかにタフであるかを表現するから。
それは(私を)良い教師にするから。
それは人々が私を尊敬するようになるから
それは教師としての私の役割に権威を付与してくれるから。

これを読んだコーチの皆さん、いかがでしょうか?
それでは。

(回答者:若林弘紀

 

 

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