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Q27:期待の中学1年生が入学以来スランプに...(00年1月9日)

Q:

小学校で大活躍していたゴーリーが中学校に入学して以来大スランプに陥っています.
何か良い解決策はないでしょうか?

とある中学校のコーチ

A:

どんなスポーツにおいても,「一つ上のレベル」でプレーするということは,想像以上に大変なことです.「今のサッカー五輪代表はA代表より強いのでは?」なんて言う人がいますが,彼らの大半はJリーグでレギュラー獲得のために必死で戦っている選手たちです.強い強いと言ってもA代表と10回戦って2,3勝するのがやっとでしょう.プロ野球二軍のホームラン王が一軍ではほとんど打てないなんていうこともざらにあります.
この質問は,まさに「大人と子供」の違いほどもある小学生から中学生への転換期の話です.はっきり言ってしまえばこれはスランプでも何でもなくてごく普通のことなのです.単純に,パックのスピード,プレーの展開,体力など,どれをとってもレベルが違うのです.苦戦して当たり前です.どれほどの中学一年生が一年目からバリバリに活躍できるでしょうか?例外はあるものの,誰でも多かれ少なかれ苦戦しているはずです.ただ,ゴーリーの場合はミス=失点なので目立ち易いだけなのです.試しにディフェンスとフォワードの滞氷得失点を調べてみて下さい.やはり一年生が苦戦していることが分かるはずです.
もう一つ重要な原因として考えられるのが「クラムジー」です.成長期の子供は,骨の成長が筋力や運動神経の成長よりもずっと急なので,一時的に運動能力が著しく低下してしまいます.「体の成長に運動能力がついていかない」現象なのです.いわゆる思春期特有の不安定な精神状態と合わさって,「なんか最近あの子はやる気がない.中学校に入ってから下手になったし...」と誤解されやすい症状ですが,本人も「なんか前みたいに体が動かない」と悩んでいるのです.
コーチはこんな時にあまり技術的なことや勝敗など目に見えることばかり指摘しないようにしてください.最悪の場合には本人のやる気を削いでしまうことになりかねません.コーチは本人(父兄にも!!)に「クラムジー」のことを話し,「今はもどかしいかもしれないけれど,必ず昔のように動けるときが来る」ことを励ましながら伝えてあげて下さい.焦って激しいトレーニングや筋トレなどをすると成長期の体をこわしてしまうことになりかねません.だいたい体の成長が止まってきたのを見極めてから,今度は筋力を付けるトレーニングを開始しましょう.
周りが「中学校ではやはり通用しないのでは??」と懐疑的な雰囲気を作ってしまうことが一番いけません.焦らずにじっくりと体を成長させながら,場合によっては技術練習は過去にさかのぼるくらい内容でやっていくと良いと思います.そして,精神的にサポートしてあげること,これが一番重要です.
それでは.

(回答者:若林弘紀

 

 

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