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2−3というシステムはいわゆるニュートラルゾーントラップなどの超守備的なシステムへの反動として生まれてきたようなシステムです.その心は「攻めと守りのバランスをとる」ことです.つまり「積極的にフォアチェックでパックを奪回しに行きつつ,相手の攻撃に備えて守りも固める」ということです.
このシステムは最近とても流行っていて,カナダのオリンピックチームもだいたいこのシステムを使っていました.デトロイトで有名なレフトウイング・ロックもよく似た発想です.日本の大学リーグなどでも積極的に取り入れられているようです.実際このシステムは高度な技術をそれほど必要とせず,教えやすく,機能しやすいという,かなりお得なものです.
2−3といっても諸説あり,いろんな人がいろんな定義をしていますが,どれが本物だとか正しいということも別に決める必要はありませんので,ここでは私なりに理解しているやり方を説明します.
図1が基本的な配置です.ここでは右のコーナーにパックがあるのでライトウイング(RW)とセンター(CF)がパックキャリアにプレッシャーをかけています.
- 一人がパックキャリアの体にプレッシャーをかけてパックを引き離し,もう一人がそのルースパックを取り返します.
- パックキャリアが早めにパックをハッシュマーク付近のプレーヤーにパスした場合はセンターが素早くそれを読んでそちらにプレッシャーをかけに行きます.
- レフトウイング(LW)は逆サイドのサークルの頂点付近でウィークサイド(オープンサイド,オフパックサイドでもなんでもいいですが,パックの逆側のことです)の相手を牽制します.
- フォアチェックが失敗した場合はこの相手をバックチェックします.
- 成功した場合は赤い矢印のようにスロットに進入して攻撃に参加します.
- ディフェンスのD1はストロングサイドのレーンを守り,D2はミドルレーンを守ります.LWと合わせれば3つのレーン(斜線部)をそれぞれ守っていることになりますね.
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相手がこのチェックを読みはじめて,ボード沿いではなくミドルレーンを使って攻めようとした場合には,LWがミドルレーンに入りミドルレーンへの展開をつぶすという手があります.この時はD2がウィークサイドを守るわけです.
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- D−Dパスなどで逆コーナーに展開されたときはCFがそれを読んで逆コーナーをカバーしに行きます.LWも素早くコーナーに向かいCFと共にパックを取り返します.
- RWは素早くコーナーから右トップサークルに戻ります.
- 同時にD2とD1が左にスライドすれば図1の逆の形ができあがります.
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- 最初にプレッシャーをかけるプレーヤーは強力にスピードを出してパックキャリアの体にプレーすること
- 次のプレーヤーはルースパックが出るのか,パスをされるのかをよく読んでプレーすること.
- トップサークルに位置するフォワードはバックチェックに備えるのが最優先ですが,前の2人がパックを取り返せそうならばすかさず攻撃に移る準備をする必要があります.
まあ基本といえるのはこんな所です.あとはこの他のいろいろなシチュエーションに対応した細かい決まり事をチームで話し合っておく必要があります.一つのシステムでどこの相手とも同じように戦えるわけではありませんから,試合中に修正できるようにいろんなパターンを練習しておく必要があります.たとえば基本配置1と2を練習しておく,などです.
個人的には非常にお薦めのシステムなので試してみて下さい.
それでは.
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