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Hockey Lab Japan
Q&A

Q115:NHLと日本のレベルの差はどのくらいですか?

Q:
NHLと日本のレベルの差はどのくらいですか?
(こうちゃん)

A:
これは7月にして今年度の「シンプルな質問オブザイヤー」に決定ですね。

質問してくれたのが小学校5年生の方なので、なるべく分かりやすく答えようと思いますが、いろいろ考えるとそんなに簡単ではないと思ってきましたので、思ったとおりに書きます。こうちゃんさんの保護者の方は意訳をお願いします。

まず、「NHLと日本」という比較ですが、これではあいまいなので、とりあえず「NHLプレーヤーと、日本のトップレベルのプレーヤー」くらいに置き換えたいと思います。

NHLは間違いなく世界最高のアイスホッケーリーグです。過去に日本人でNHLにドラフトされたのが2人で、NHL出場経験があるのはGK福藤豊選手ただ一人であり、現在、2009年において、NHLで活躍している日本人選手は一人もいませんから、簡単に言えば

「現時点で、日本のトップクラスのプレーヤーでもNHLで通用しないくらい大きなレベルの差がある」

と言えます。NHLの一つ下のマイナーリーグであるAHLでも出場経験のある日本人も福藤選手だけですので、NHLの一つ下でもレギュラーとして活躍するのは難しいということになります。さらにもう一つしたのECHLでプレーした日本人は何人かいますが、日本代表で長年プレーする鈴木貴人選手が2002-03年にECHLで活躍してオールスターに選ばれていますので、代表のトップレベルの選手がECHLで何年かプレーすればAHL昇格、さらにNHLに出場、という可能性があるの「かも」しれませんが、なんとも言えません。

正直言って、日本のホッケーのレベルをNHLと正確に比較できる材料がほとんどないからです。

私は日本の高校生や大学生などを今までにたくさん見てきましたが、技術的に北米のプロリーグで通用するんじゃないかというタレントは過去に何人もいたと思います。しかし残念ながら日本の高校・大学ホッケーは、世界のホッケー勢力地図の中では「競技ホッケー」として認識されていませんので、若いうちにスカウトされる機会がありません。アジアリーグにもNHLスカウトは来ていないと思います。アメリカやカナダ、さらにヨーロッパのホッケー強国では15歳くらいのトップレベルの選手は日々NHLスカウトにチェックされていますので、それだけドラフトされる確率が高いのは当たり前です。

現時点で、日本でホッケーをプレーしている子供たちが、NHLのスカウトの目に留まるためにはU18などの代表チームに選出されて、世界大会に出るしか方法がありません。日本と同じようにトップデヴィジョンでプレーしていないスロベニアなどの国からもNHLにドラフトされていますから、少ないながらスカウトは見に来ているはずです。また、国際舞台で注目された若い選手は北米のメジャージュニアリーグにドラフトされる可能性がありますので、そこでさらにNHLにスカウトされる可能性が広がります。過去に日本からNHLにドラフトされた三浦選手、福藤選手も、代表での活躍を評価されたと聞いています。日本の女子ホッケーは世界的に見てレベルが高いので、国際大会で活躍してアメリカの大学からスカウトされたという話も何人か聞いたことがありますし、私も実際関係者から照会を頼まれたことがあります。

ようするにNHLのドラフトリストはそのままタレントのランキングリストであり、シーズン中に何回もランキングが発表されています。このランキングに基づくドラフトの指名順位は、そのままNHLチームの将来の予算編成に影響しますから、スカウティングリストはホッケービジネスの根幹の一部を形成するのです。そして、ランキングである以上、誰が誰より優れているかを見極める尺度が必要であり、日本国内でプレーしている限りその尺度が得られないということになります。

日本国内の高校・大学、アジアリーグでプレーしていてもスカウト網にかかるためには、誰かがNHLで活躍して世界のホッケー市場の中での価値を示すしかありません。

外国人選手枠の問題などがあり、簡単ではありませんが、日本のトップ選手が中高生から海外のジュニアリーグなどでどんどんプレーするようになれば、当然NCAA大学リーグや、さらにNHLスカウトの評価の対象になる日も来ると思います。また、日本代表選手も、マイナープロであってもホッケー強国のリーグで活躍するようになれば、とりあえず評価の対象になり得ます。

「世界で通用する(した)か?」

という議論には、いくら時間をかけても意味のある答えが出ません。世界で通用するかを確かめるには、厳しくても、評価の対象になる世界に出る方法を探さなければいけないのです。

「同じ土俵に上がらなければ、自分の価値は分からない」

と、自分自身に言い聞かせつつ、、、

それでは。

回答者:若林弘紀

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