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Hockey Lab Japan
Q&A

Ｑ１０６：ホッケーのために子供の人格改造は必要？

Q:
始めまして、私は現在カナダ人の夫と９歳の息子とカナダ在住です。
ホッケー歴が短いわりには他の子に引けを取らず色々なコーチから目を掛けて頂いているせいもあり夫の息子への期待は日に日に増すばかりです。
そうゆう状況を日本人の私は極力冷静に主人と子供の関係を見守っているのですが、ホッケーをやらせる上で人としての人格まで変えなければ強い選手にはなれないのか？と悩み始めてしまいました。
ゲームをやっていて、チームの中でスピードは１番２番を争うほど上達しているのですが、パックが自分のとこへ来るととたんに動きが遅くなり、また自分でパックを運ぼうとしなくなるのです。それを見ていた主人は心の強さの問題だと言うのです。うちの子は大変に優しい子で、人を傷つけたり喧嘩をしたりという事をものすごく嫌います。ホッケーで体当たりすれば、当たった子がころんだりすると、心配そうにして見ている事さえあるんです。
そうゆう優しさがホッケーではマイナスになると主人は言うんです。これから、もっとグレードが上げれば、ぶつかっていく子が残って行くんだとも言っています。そうゆう人を押しのけてもと言う精神を身につける必要があるのでしょうか？私もやはり息子にホッケーをやらせている以上は目標を高く持っていたいと思います。（NHLまでは考えていませんが・・）私はどうしても女性なので甘い考えを持ってしまうところがあり、主人にもよく叱られています。ホッケーをやってきた方からの意見をお聞かせ頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。
（悩めるホッケーママ）

A:
ホッケー、、、とくに北米のホッケーではたしかに「負けん気」みたいなものが非常に重視されますよね。まぁ実はスポーツ全般に言えることなんですが、勝ちたい、とか負けたくない気持ちが重要であることは否定しようがありません。

私の見てきた選手の中にもそういうガツガツしたところが足りずにトップレベルにいけなかった人たちが何人もいました。私が思うに、これは性格を変えるとかいう問題ではなく、自然とホッケーに適したメンタリティをもった人たちが淘汰されていくのだと思います。

これは別に弱気の子供は生き残れないといっているのではなく、競技ホッケーを通じてホッケーに適したメンタリティを身につけていくか否かということです。お子さんは9歳ですから、この先性格は変わっていくことと思います。昔から強気でやる気だった子があるときを境に消極的になることも、その逆もいくらでもあり得ます。それはあくまでも息子さんが自分でホッケーをやっていくうちに身に付けていくものだと思います。親が性格を変えようとしてもできないこともありますし、コーチの一言で変わるかも知れません。

一番大事なことですが、、、技術があるのにもうひとつ上に行けない、、、もっとアグレッシブにならなければと息子さんが気づいたときに、それでもホッケーを続けたければアグレッシブになるでしょうし、まぁそこまでしなくてもいいやと思えばアグレッシブにならない、、、ということです。彼に選択させてあげてください。っていうか最終的には彼の選択です。

また、女性の方に限らずスポーツにおけるアグレッシブさを勘違いされることがありますが、品のない野蛮さと、闘争心は別物です。スコアシートには勝敗だけしか残らないので手段を選ばず何をしてでも勝つ！というのもスポーツのひとつの美徳です。が、それと野蛮なプレーや尊敬のない態度はまったくの別物で、知性、品性はスポーツと喧嘩の境界にあるものです。だから、闘争心をむき出しにプレーしつつも、相手や審判、コーチや観客に品位をもって接することを教えていけば良いだけだと個人的には思います。

最後に、、、息子さんは9歳です。

この先ホッケーを続けるかさえも分からない年齢です。競技ホッケーを追及するのかを決めるのもずいぶん先の話です。もしかしたらホッケーじゃないなにか他のことに人生の楽しみを見つけるかもしれませんし、それも素晴らしいことです。熱くなりすぎず、プレッシャーをかけすぎず、このさきどんなレベルでプレーするにしろホッケーという素晴らしいスポーツが息子さんの生涯の楽しみになるように考えてあげるのが一番大切なことではないでしょうか？

それでは。

回答者：若林弘紀