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Hockey Lab Japan
Q&A

Q105:ディッキングへの対応は?

Q:
プレーヤーからノーマークシュートが来るときにフェイントはどうやって見極めればいいのですか?
(2年目キーパーさん他多数)

A:
実はこれ、「バタフライの幅を広げたい」とならんで全国のゴーリーさんたちからよくもらってきた質問なんですが、ここへきてやっと登場です。

ノーマークからのフェイントってことはアレですね、ブレークアウェー(独走)やシュートアウト(PS)の状態からディッキングされるってことですね。この北米ホッケーの専門用語「deking(deke)」は「フェイント=巻き」って意味なんですが辞書にすら載ってなくて、それなのに超常識的に使われてるっていうやっかいな言葉です。北米でホッケーしたり外国人のコーチに教わる機会がある人は是非覚えておいてください。

シューターにとってはハンドリングの見せ所、ゴーリーにとってはまさにビッグセーブであるこの状況、、、バタフライブロック、ダブルレッグジャム、はたまたポークチェック等、いかにして止めるかというセオリーは多々ありますが、ここでは初心者から上級者まで参考になると思われる原則を紹介します。

方針とポジショニング

プレーヤーがディッキングで得点を狙うということは、すなわち、パックを横に動かしてゴーリーとポストの間からパックをゴールに流し込もうとしているということです。例外はゴーリーを横に動かして股下、わきの下を狙う場合だけです。

ということは、パックが自分の身体とポストの隙間に流し込まれるよりも前にその隙間をふさぐように壁を作れば良いわけです。(写真1)


写真1

しかし、横に動きやすいようにと最初からゴールクリーズの中に位置していると、シューターはおそらく大きく開いた隙間を狙ってシュートを打ってくるでしょう。(写真2)


写真2

逆にスコアリングアングルを狭めようとしてゴールクリーズより前に出すぎていると、ディッキングやその後のリバウンド、パスに対して対応が難しくなります。(写真3)


写真3

というわけで、だいたいゴールクリーズのあたりからポストに向かってバタフライでスライドして壁を作る方針でいきましょう。

多くのゴーリーがゴールクリーズから出て、下がる勢いを利用してバタフライでスライドしていますが、ここでも前に出すぎは禁物です。出過ぎれば下がる際のスピードの調節が難しくなり、出すぎた状態でディッキングをされたり、もしくは下がりすぎた状態でシュートを食らったりしやすくなります。またバックスケーティングをしながらブロックをするということは、両足に均等に体重を乗せた基本姿勢の状態からのブロックが難しくなります。

シュート、ディッキングを見分ける

さて問題のディッキングの見極めですが、まずはシュートで来るか、ディッキングで来るかを見極めなければなりません。いろいろな考え方があると思いますが、分かりやすいところでパックキャリアが体の前でハンドリングしているか、横でハンドリングしているかを見て下さい。前ならだいたいフェイントもしくはパスで来ます。横ならシュート、フォアハンド側へのパス、もしくはシュートフェイクから巻いて来ます。

フェイントにはいろんな方法がありますが、とりあえず自分の体の前でチョコチョコとハンドリングされるのに反応してバタフライでもしてしまったら一巻の終わりです。最後に大きくパックを動かして、自分の体の外側、具体的に言うならつま先の外側まで持っていかれた瞬間にそちらの方向のポストに向かってバタフライでスライドするのが良いタイミングです。(写真4)


写真4

ブロック

さて、いよいよブロックです。パックのスピードに負けないように、力強くポストに向かってプッシュし、ポストと身体の間をふさぐ壁を作ってください。(写真5)


写真5

プッシュしたらすぐに押し足をひきつけて股下を閉じ、ファイブホールへに流し込むシュートに備えます。また、腰を落とさずひざの上に立つようにして、わきの下も閉めてシュートに対して直角な一枚の壁のようになってください。(写真6)


写真6

パックの動きに合わせて真横にスライドしないように気をつけてください。これでは結果的にポストと身体の間に隙間を残してしまうことになり、粘り強いシューター相手ならそこに流し込まれてしまいます。(写真7)


写真7

ブロックを成功させるにはプッシュしなければなりません。プッシュしないで足を伸ばすだけだとゴールとパックの間に残るのは手足の先だけです。(写真8)フランソワ・アレール曰く

「シューターはそんな小さいもの狙ってシュートを当てられるほど上手くない」

そうです(笑い)


(写真8)

最後に

ここで紹介したテクニック以外にもおそらくさまざまなノウハウが存在すると思われます。しかしとりあえず上記の方針で練習を重ねればディッキングをとめる確立は確実に上がるはずです。近年のNHL、特にシュートアウトを見ると、ほとんどのゴーリーがバタフライかそれに近い形でポストに向かってブロックしていますし、シューターはそれに対抗していかに速くパックを横に動かし、ゴーリーが壁を作る前に肩口や股下にシュートを流し込むことに集中しています。後はシューターの腕と、ゴーリーの脚の勝負ってことですね。

それでは。

回答者:若林弘紀

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