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ヘローキィのチェコ&スウェーデンホッケーツアーその4 (2004年04月07日)

試合経験の話

さて、そんなわけで、ホッケー大国チェコでは未来のエキストラリーガーとかNHL選手を目指して子供たちが日々しのぎを削っているわけです。当然のことながら子供のころからトライアウトを経てチーム入りを目指すわけですが、やはり試合に出られないプレーヤーもでてきます。そこでチェコではベンチウォーマーを「ホスト」という制度で、少し下のレベルのチームへ貸し出しして試合経験を積ませる制度が存在します。

要するにレンタル移籍のことです。これは日本でもどうにかして見習いたい制度です。強豪チームで万年ベンチに埋もれているプレーヤーがいる一方で、2セットも作れないチームがごろごろしてるんですから。試合経験を得られない限り上達の機械は限られてしまうわけですから何とかしたいもんです。たしかカナダではベンチ入りの20人しか登録できないようにすることで試合出場機会を作り出していました。まあ日本でやろうとすると学校スポーツの枠が邪魔しちゃうんですけどねえー、、、今のところ。

試合経験といえばチェコは地理的に恵まれているため子供のころから多くの国際試合を行なうことができます。有名なところでは「チャレンジカップ」があり、世界中から各年代のチームがプラハに集まって試合をします。そのほかにもロシアやスウェーデンのチームがプラハに合宿しに来たりで、子供のころかr「普通の感覚」で国際試合が行なわれるのです。これはうらやましい限りですね。

日本人兄妹奮闘!

実はヘローキィは、こんなに厳しく、恵まれたチェコホッケー界で活躍する日本人兄妹家族にお世話になったのでした。桐渕悠人君(17)、絵理さん(16)、望美さん(11)は、たった3人の日本人選手として、幾多の苦労を乗り越えてチェコの競技ホッケー界で活躍しています。まだまだ頑張れよー!ちなみに「その3」の最後、女子ホッケーの写真のゴーリーは絵理さんです!

Kiribuchi Family

子供の練習

当たり前ですが、どんな国のホッケーも、子供のころに何を見て、どんな練習をしてきたかによって決まります。ですからむしろ完成された大人の練習を見るよりも子供の練習を見ることでその国のホッケーの特性が理解できるというものです。もちろんカナダでもアメリカでもロシアでもそうでした。

で、このチェコの練習なんですが、いろいろと特徴的でした。まず、練習時間は1回60分と北米の標準と変わりません。そうなんです。子供で90-120分の練習なんて日本以外では見たことないです。しかし、練習回数は中学生くらいから週4回くらいと北米に比べてかなり多いと思われます。(北米の子供はだいたい練習週2程度)これは学校と提携するなどして昼間でも練習時間を確保していることも影響しているでしょう。スキル不足がしてき始めて久しい北米のホッケー界もホッケークラブが学校と一体化することでホッケー専門学校を形成するスタイルが定着しつつありますのでこの辺はこれからどんどん変わってくるでしょう。

練習時間の使い方は結構ルーズで、5分前くらいに悠然と現れて着替え出す子供とかいたりして、おいおい始まっちゃうよ!と思ったらそのころやっとコーチが登場したりして、実質50分くらいです。それからおもむろに練習が始まるわけなんですが、これ北米でも結構そうだったのですが、アップも何もなくいきなりシュートバンバン打つような練習が始まります。もちろん練習前にアップとかチームでする光景はドロストくらいでしか目にしませんでした、、、うーん危険だ。

シュトバニッツェ

練習内容はまさにチェコホッケーの基本のようなトランジション=攻守の切り替えの動きを多く取り入れたものが多く、特にフォワードがリグループやブレイクアウトなどで自陣方向に戻り、再び攻め出すときには必ずバックスケーティングを入れてパックから目を切り難くする動作、これはほとんどのチームで基本として教え込まれていました。

当然のことながらフォアからバック、バックからフォアへのピボットをしながらのパックハンドリングも必要となるので、5年生くらいの子供たちがそういうハンドリングを練習してました。また、数回のパスが繰り広げられているところに、タイミング良く入ってパスをもらって速攻という、タイミング重視の練習も多く、非常に共感させられるものがありました。そしてニュートラルゾーンからアタッキングゾーンに入るときにはお得意のドロップパスを多用。これもほとんどのチームでやってましたね。

スキル的に秀でているのは北米系のカツカツ音の出るハンドリングと一線を隔した、独特の柔らかいハンドリング。そして中学生でも日本の大学生並の豪快なシュートが目を引きました。一方、スケーティングは意外にもあまり良くない感じで、エキストラの選手でもなんだか癖のある人たちがちらほら見受けられました。ちなみに世界でも屈指の身長を誇るチェコ人たち、でかかったです。ジュニアでも185cm以上のプレーヤーなんてゴロゴロしてました。

しっかし現代ホッケーの特徴ともいうべき守備の練習というものがあまり見られないのには驚きました。ですから試合は子供から大人まで相当ワイドオープンな展開となり、2-1、3-2なんてしょっちゅうある感じでした。こりゃゴーリーは大変だろーな...

というわけでゴーリーの話です。 チェコのゴーリーといえばなんと言ってもNHLで一時代を築いたハシェクが有名なんです。しかしその後にNHLに出て行ったゴーリーはどーも安定感にかけるというか、でかいだけというか、下手なゴーリーが多く、レギュラー定着も怪しい感じでした。チェコでもゴーリー育成には力を入れ始めているらしく、各クラブチームで週1回所属ゴーリーを集めてゴーリー練習を行なっていたりするのですが、、、どうもその内容が今ひとつ現代的じゃないですね。とにかく前に出て、あとは運動神経で止めなさいって感じで、あまり確実性はない感じでした。

大人の1部リーグぐらいの試合を見ると「あーこれ、60年代のNHLのビデオで見た感じのゴーリーだ!」と感動するようなスタンドアップスタイルが現存していたりして、目を覆いながらも懐かしくはあります。とは言ってもエキストラの試合を見る限りバタフライ的なゴーリーの波は確実に訪れており、今後数年で大きく変わってくる可能性は大と見ました。

HCコブラプラハのゴーリー練習
シュトバニッツェ