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個人面談のススメ

「今年の夏は暑くなる」 なんて天気予報で言われなくても十分分かるわいと思う今日この頃です。さて、昨日からオフに入った筑波大学ホッケーチームの個人面談をしています。これは一昨年アメリカの大学で教えていた当時のヘッドコーチが行なっていたことのパクリなのですが、非常に効果的だと思いますので紹介します。

これは早い話が中学校の進路指導3者面談から父兄を引いたようなもので、チームのプレーヤーとマネージャー一人ずつがコーチ、アシスタントコーチ、主将と面談するものです。面談の内容は、チーム内におけるそのプレーヤー役割の自己評価、首脳陣からの評価、チーム内の問題点、他のプレーヤーとのかかわり、首脳陣への要望などです。

実は洋の東西老若男女問わず、全てのチームの問題の9割以上は 「試合に出られない」 ことに起因します。そこから首脳陣の自分への評価に対する疑念、チームメイトとの不和などが生まれるのです。ですから、シーズン中何回かプレーヤー自身の自己評価と首脳陣からの評価を照らし合わせてそこに大きな開きがないかを確認する必要があるのです。

ベンチ入りが確実なメンバーにはチーム内においてそのメンバーが期待されている役割と責任を説き、ベンチ入りが微妙なメンバーにはベンチ入りの目標を達成するためのプロセスを具体化させる契機を与えます。 ベンチ入りが遠いメンバーには来年につなげるためにこれからどうすればいいか、目標を見失わないようにアドバイスなど行ないます。またチームの問題点や特定の個人に対する不満が陰口にならないように首脳陣が把握しておきます。

この面談の最大の意義は 「首脳陣は一人一人のことを大切に思い、気にかけている」 ことを示すことにあります。チームを率いる人は率いられる人が思うよりもチームのことを大切に思っているものですが、残念なことにその思いが伝わることはまれです。面談を通して、プレーヤー一人一人、マネージャー一人一人の存在と意見を尊重する気持ちを示すことが大事なのです。 また、普段漠然としたイメージで見ていたメンバー一人一人の個性が意外な形で現れて来るのを確認するいい機会にもなります。

このような面談を成功させる最大の鍵はメンバーとの信頼関係です。たまにしか練習にこないコーチに面談されてもメンバーは心を開けないでしょう。そして、首脳陣はいくら言いたいことが山積みでも、まずはメンバーの話を聞くこと、話を引き出すことを優先しなければなりません。首脳陣は基本的にしゃべりすぎるので、このような機会に「聞く」ことが求められます。

というわけで、非常に効果が大きいと期待されるこのような面談、まだ行なったことがないチームはオフの間に是非行ってみてください。 しかし...昨日は20:00開始で1:30終了...。4人で5時間半... 一人30分の予定は何だったんだろう...? 連日激烈に疲れて、二日連続で面談終了後に首脳陣による打ち上げが行なわれたことは言うまでもありません。