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トゥルシエ英断!!

サッカー日本代表がアジアカップで優勝してしまったではないですか!! ブラボーブラボー、トゥルシエ!私はまだビデオさえ見ていないのですが...。だがしかし、勝ったにもかかわらず、批判されてるではないですか、やはり。

今回特に疑問が向けられているのは彼の選手交代の手腕です。戸塚氏はこんな記事を書いています。「選手は自信をつけ、監督には疑問符」ってやつです。彼の批判の要旨はこうです。 「後半にやられっぱなしになっているときに、トゥルシエは柳沢を投入し、失敗に気づいてわずか7分で交代させた。よう分からん」

しかし、私はむしろ同サイトの湯浅氏の 「柳沢がダメだと見切ってすぐに換えたことこそが英断」 とする論を圧倒的に支持します。指導者にとって大事な場面で選手交代の決断を下すということは並大抵のことではありません。ましてや自分の決断の間違いを認めて修正することは、指導者人生をかけるほどのリスクが伴います。トゥルシエ自身は会見で 「柳沢を選んだこと自体が私のミスであった。すぐに交代させることで選手の自信が傷つくことは分かっていたが、レベルの高い試合では必要なことだ」 と素直に自分の間違いと、リスクテイクを認めています。

これってすごいことです。 選手交代とは違いますが、私も自分が教えてきたシステムや技術指導論を、たった半年の間に撤回したことが何回かあります。今まで自分が教えてきたことを「あれはやはりダメだ」と認めて教え直すことは大変なのです。下手すれば「おいおいコーチ全然ダメじゃん」と言われかねません。新しい「正しいこと」を教え直すには今まで以上の説得力が必要です。また新しい「正しいこと」が今まで以上に機能しなければ指導者の信頼は失われたも同然です。 だからこそ監督は簡単に決断を下すことができないだけではなく、決断の間違いを認めることが、ほとんどの場合できないのです。

その意味ではトゥルシエはすごいとしか言いようがありません。と、私は思います。だいたいサッカーの解説者たちはフランスW杯後、優勝したフランスのジャケ監督が交代枠をフルに使う戦い方をしたっていうことを「これぞ最新の采配だ!!」と大喜びして、交代枠を使い果たすことに執心し過ぎているのです。選手交代なんて言うのは「たら、れば」の代表で、すりゃあ良いってもんじゃないのです(勿論スポーツによりますが)。監督は解説者の太鼓持ちじゃあないんだから、彼らが納得するようには選手交代させられんでしょう。

次はトゥルシエは「所詮アジアカップで勝っただけ」という言葉と戦うことになるでしょう。大変です。 彼は会見の中で皮肉たっぷりに 「このカップはただ岡野会長の部屋に飾られるためではなく、2002年にむけての新たな踏み台になるようにしたい」 という趣旨のことを言っています。 牽制球もしっかり浴びせてますね。フィリップ君は。