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ユースホッケーのシーズンもいよいよ終盤。私が教えるU18、U16チームは、残念ながら週末の地域大会で敗退し、全国大会出場はなりませんでした。ピーウィーAチームの方は月末の州大会まで続きますので、私のシーズンはもう少し続きます。

シーズン終盤になってくると、チーム内の子供達の力量の差や役割、各チームの「格」もある程度はっきり分かるようになってきます。また、シーズンが始まるときには素晴らしい活気があったチームでも、心身に蓄積された疲労で、シーズン終了を指折り数えるような精神状態になってしまうことも少なくありません。

「チーム一丸となってシーズンを始めるより、チーム一丸となってシーズンを終了する方がはるかに難しい」

ですから、チームをマネージメントする戦略として、常にチームに新しい課題を与え、ダレてきそうな時期の試合にも何らかの意味付けをしてモチベーションを保つことがとても重要になります。しかし、シーズン終盤の大事な試合の前に、急にスケートやシュートが上手くなるわけではありませんから、与える目標や課題は、即効性があり、現実的なものでなければいけません。

そこで、私のピーウィーチームでは数週間前からフェイスオフの細かい知識を子供達に与えるようにしています。フェイスオフは試合中パワープレーやキルプレーよりもはるかに頻繁に行われるにも関わらず、ほとんどのチームでシーズン中に練習されることすらまれなシステムです。
しかしそれだけに、特に子供のチーム同士の対戦であれば、フェイスオフの細かい知識を浸透させるだけで試合を大変有利に進めることができます。

  • アタッキングゾーンで、センターのすぐ後ろにあるルースパックを処理するのは誰の役目で、どのように処理すればいいのか?
  • ニュートラルゾーンで自チームがキルプレーのフェイスオフの時、どのような隊列になるべきか?
  • ディフェンディングゾーンで自チームがキルプレーのフェイスオフの時、どのような隊列になるべきか?また、相手のボード側のポイントにパックを引かれたら誰がプレッシャーをかけに行くのか?

などなど...

子供には理解が難しすぎると言うなかれ。たいていの知識は、数週間に一度、練習の中で時間をかけて(といっても10分もあれば十分です)教えれば、驚くほど簡単に浸透するものです。また試合でそのフェイスオフの知識が活きて成功しだすと、子供達は嬉しくなって自分たちでどんどんフェイスオフの工夫をしだすものです。

子供には細かい知識よりもとにかく基礎が大事!というのはまったくもって真理ですが、根気よく基礎的なスキルをシーズン通してひたすら磨いていく一方で、このように即効性のある知識をタイミングよく与えることで、子供達は成功を体験して自信を身につけ、時間のかかる基礎の積み重ねも飽きることなく取り組んでくれるようになるものです。

レベルが高くなるにつれて、基礎的な技術力は高まりますので、勝敗の鍵はチームとしてのシステムや、細かい知識の差、相手とのスカウティング合戦、そして総合的な完成度に移行するようになります。

つまり、どちらも欠くことの出来ないゲームの一部であり、それを教えるタイミングとバランスこそが一番重要なのだと、私は思います。