Book Review Title

「夜間飛行」 (サン・テクジュペリ著、新潮文庫)

コーチやリーダーにこそ読んで欲しい名書!

サン・テグジュペリといえば「星の王子様」(超名作!)でメルヘン作家の代表と思わせておいて、実は硬派なヒコーキ野郎で、飛行文学とでも言うべき詩的で哲学的な作品を多く残しています。宮崎駿なんかも大いに影響を受けたようで、そういえばジブリ作品には古風な飛行機乗りがよく登場しますよね。そんな彼の代表的作品、夜間飛行を先日読み終えました。非常に素晴らしいです。

コーチとしては、これはコーチやリーダーと称されるあらゆる人の参考になる書だと思いました。競技スポーツや、実利性がある社会活動におけるリーダーが、なぜ、最終的には部下に厳しくあるべきなのか?を教えてくれます。

上司のキャラクターや部下の性格などを根拠に、放任主義、怒らない指導や、誉めて伸ばす指導、対話による指導、など、手を変え品を変えて新手の指導法が現れても、結局有史以来リーダーシップの根本は厳しい規律の運用です。なぜ一つの仕事を達成するのに細かい段取りを正確に行なわせるのが大事なのか? なぜリーダーは危機的状況に動揺せずに毅然と立ち向かっていくべきなのか? 良い感じで書いてあります。

さらにこの書は、冒険や趣味という一件非生産的に見える人間活動を、突き詰めて行くうちに使命感が生まれ、価値が生まれ、人々にとって欠かせないものになっていく瞬間が描かれています。この書に描かれている夜間飛行による郵便配達でも、歌を歌うことでも、氷の上のパックを追うことでも、プロ意識を持って突き詰める人にとってそれはまさに「自己実現」の手段になり得るのです

二大自己実現物語

この「夜間飛行」、そして以前ご紹介した、「かもめのジョナサン」は一読すべき価値のある、二大自己実現物語、と私は勝手に呼びます。
働くことに悩む人々、上司としてのあり方に悩むあなたにお勧めの書です。