Book Review Title

「白夜行」 (東野 圭吾 著、集英社文庫)

読んだ瞬間にネタは判ってしまうものの...

餞別代りにいただいた東野圭吾の「白夜行」読み終わりました。ある殺人事件を機にその後20年にわたって巻き起こる不可解な事件の数々...。壮大な事件の構図を結ぶ綿密な鍵とは...っていうサスペンス的展開なんですが、ネタは読んだ瞬間に判ります。

問題なのは冷たくドライな人間描写...。もーシベリアか細尾のリンクかと思うくらいの冷たい風が吹き抜けます。amazonの書評なんか読むと「なにもそんなに冷たい物語書かなくてもいいじゃあねぇかよ!サイテー!」ってキレちゃってる人までいますが、そう思った時点で作者の勝ちですね。最近のワイドショーにぎわしてる事件なんて小説よりもよっぽど非人間的で冷たいじゃないですか。

ヌーベルバーグかアメリカンニューシネマみたいな突然の幕切れに怒っている書評もまんまと著者に一本取られているんじゃないでしょうか? これだけの試合巧者が気まぐれに中途半端な幕切れにするわけがないないない! 映画「ディアハンター」やプログレッシブロックの大家キングクリムゾンのごとき絶望的かつ美しい世界...間違いなく傑作!

そして、なぜか作品中に大学アイスホッケー部が登場します!
「今年は経験者が少ないですから...」なんて、いかにも大学から始める部員が多い部活らしくて泣かせてくれるじゃないですか!
東野圭吾...もしかしてホッケー部?

さて映画版はと言うと...

こちら、後に堀北真希主演で映画化されておりますが...ひたすら暗いわ、ブツブツ言ってて何を言っているのかイマイチ判らない(飛行機の中で観たもので...)。でもストーリーは結構忠実に再現されているのではないでしょうか。とは言えボリューム的にどうしても描ききれないモノはありましたが...。ロード・オブ・ザ・リングよりは端折ってないので合格ラインかと思います。